アフリカ、マラウイのウェスト・ピッカーとは? | ゴミ最終処理場(集積所)を紹介

ゴミの最終処理場マラウイ
ゴミの最終処理場
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アフリカ、マラウイのゴミの最終処理場にいる「ウェスト・ピッカー」を知っているでしょうか?
マラウイにもゴミで生計を立てている人が多くいます。
マラウイの最終処理場にいる「ウェスト・ピッカー」について書きたいと思います。

私のマラウイ生活で得た個人的な経験ベースでお伝えします。

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アフリカ、マラウイ都市部のゴミ処理事情

途上国だとどこでも抱える問題の一つに「ゴミ問題」があると思います。
マラウイでもゴミによる環境破壊は深刻で、特にゴミの多く出る都市部では対応しきれていないというのが現状です。

マラウイでのゴミの捨て方についてはこちらの記事で紹介していますので見てみてください。

2020年10月にマラウイ大統領が「掃除の日」を宣言してニュースとなりました。

ゴミの問題については国民の関心事ではあるのですが、一向に解決される気配はありませんね。

私の知る限りでは、首都のリロングウェ、第二の都市ブランタイヤ、北部にあるムズズでは自治体(市)によるゴミ回収が行われています。
市内全域で回収しているわけではなく、高級住宅街などのを中心としたエリアを回収してゴミ処理場へ運んでいます。

マラウイのゴミ処理場はどのようなっているのでしょうか?

アフリカ、マラウイ都市部のウェスト・ピッカーのいる最終処理場(集積所)はどこにある?

リロングウェのゴミの最終処理場
リロングウェのゴミの最終処理場

リロングウェとブランタイヤの最終処理場(ゴミ集積所)を紹介したいと思います。
都市内で収集されたゴミは、仕分けされることは基本的なくそのまま最終処理場に持っていかれます。

マラウイでは当然ながら日本のようなゴミの大型焼却炉のようなものはありません
埋め立てもやっていませんので、指定された広い場所に持って行ってそのまま置いてくる、という形です。

ブランタイヤでは都市部内の居住エリアの45%をゴミ収集していると発表されていますが、実際は少々盛られた数字だと思います。
そもそも居住エリアを正確に捕捉できていないということと、自治体の回収能力の限界から、指定された回収場所を予定されていた通りに回収することができていないそうです。
主に予算不足による回収設備(トラックやスキップ回収車など)の維持メンテナンスができずに、回収対応ができないのが問題とされています。

ブランタイヤの最終処理場はここにあります。

ブランタイヤの最終処理場の場所
ブランタイヤの最終処理場の場所
ブランタイヤの最終処理場の場所
ブランタイヤの最終処理場の場所(拡大)

リンビから北へ向かって、ゾンバ方面とチラヅル方面へ向かう分かれ道の手前あたりにあります。
リンビから出発して処理場の入口前あたりに来ると、右手にそれっぽいエリアが見えるのと、窓を開けていると臭いでわかります。

リロングウェの最終処理場はこちらになります。

リロングウェの最終処理場の場所
リロングウェの最終処理場の場所
リロングウェの最終処理場の場所
リロングウェの最終処理場の場所(拡大)

リロングウェからM1を南に向かって、写真にあるラウンドアバウト(名前はわかりません…)を越えたところで左に入って行きます。
左に入るところには、ゴミ収集車を待つ人々(いわゆるウェスト・ピッカー「Waste Picker」)が見えるので、目印になると思います。
左に入って少し走ったら、右に入れば処理場に着きます。

マラウイのゴミ最終処理場(集積所)での注意

もし最終処理場(集積所)を訪れる場合は、複数名でタクシーを使って行くことをお勧めします。
処理場では多くのウェスト・ピッカー(Waste Picker)がいます。
ウェスト・ピッカーとは、ゴミを集めてリサイクル業者へ売ったりする人々のことで、ゴミから収入を得ている貧困層になります。
基本的にマラウイ人やマラウイ社会は、他国に比べて穏健で平和な気質ではありますが、外国人が一人で入っていくと、窃盗や暴行を受ける可能性がゼロではありませんので気を付けてください。

臭いがキツいので、臭いに敏感な人はマスクやタオルを持参してください。
あと、ハエが尋常ではないほどいます。
間違って口に入るのではないかと思うほどいるので、口をタオルなどで押えておくてとハエ避けとしても役立ちますね。

とても不衛生な場所ですので、サンダルでは行かないようにした方がよいと思います。

ゴミの最終処理場には多くのウェスト・ピッカーがいるのですが、彼らはどのようなことをしているのでしょうか?

アフリカ、マラウイ都市部のゴミの最終処理場にいるウェスト・ピッカーとは?

リロングウェの最終処理場にいるウェスト・ピッカーたち
リロングウェの最終処理場にいるウェスト・ピッカーたち

世界の人口の1%がゴミ拾い(Waste Picker)で生計を立てていると言われています。
途上国ではゴミ処理場でゴミを漁っている光景はよく見られますね。

↑にあるリロングウェの最終処理場でのウェスト・ピッカーの写真からもわかるように、その多くが子供です。
ほぼ全てのウェスト・ピッカーが英語が通じなかったので、詳しく話を聞くのが難しかったのですが、貧困世帯から子供でもできる仕事としてここに稼ぎに来ているのだと思います。
私がここを訪れたのは平日の昼間でしたので、学校には行っていないではないでしょうか。

マラウイの最終処理場でも多くの人がゴミ山の中から売れそうなものを見つけ出し、生活の糧としています。

トラックが街を回ってゴミを回収して最終処理場に入ってくると、待機しているウェスト・ピッカーがトラックに次々と乗り込んでいきます。

トラックに乗り込んでいくウェスト・ピッカー

基本的に早いもの勝ちで持っていくシステムのようですが、トラック上にゴミがある時点では誰もゴミを持っていきません。
たぶんルールで決まっているようです。
ゴミがトラックから地面に降ろされる時点から皆集まって拾っていくので、そのあたりの統制はしっかりできているようです。
リロングウェ・ブランタイヤのどちらの最終集積所にも、自治体(市)から雇われた管理人のような人がいるので(「LCC」や「BCC」の上着を着ています)、ある程度は統制されている印象はありました。

マラウイの場合、ゴミの最終処理場に住んでいる人はほとんどいないようです。
処理場内は不衛生ですし、虫も多く、火もくすぶっているので結構危険だと思います。

煙を出してくすぶっているゴミ山
煙を出してくすぶっているゴミ山

基本的に最終処理場は自治体(市)で管理されていますので、その敷地内で住むことは許されていないというのと、空いてる土地は他にたくさんあるので、わざわざゴミの中に住む必要は無い、といったところだと思います。
ほとんどの人が近隣に住んでおり、処理場に「働きに来ている」という感じです。

ゴミの中から売ることのできるものは多くないのですが、頑張れば意外と稼ぐことができます
ですので、貧困世帯から人が集まってくるのは理解できます。

では、具体的にどのような売買がされているのでしょうか?

アフリカ、マラウイ都市部のゴミの最終処理場にいるウェスト・ピッカーは稼げるのか?

最終処理場でウェスト・ピッカーが集めているもの
最終処理場でウェスト・ピッカーが集めているもの

マラウイでも鉄、プラスチック、ペットボトル、ビンなどの資材は企業に売ることができます
それ以外としては、直したら使えそうなものや、売れそうなものを見つけ出してマーケットで売る、という感じです。

ウェスト・ピッカーには子どもも多くいますし、専業のウェスト・ピッカーだけでなく兼業の人も多くいます。
収入は当然ながら人それぞれですが、稼ぐ人は一日でMK2,000~3,000(約270円~410円)稼ぐ人もいるといいます。

私の個人的な調査によるものですが買い取り価格をざっくり紹介したいと思います。
回収業者によって価格は多少異なると思いますが参考になると思います。

鉄くずは1キロあたり数百クワチャ、プラスチックは1キロあたりMK100ほどで売れるそうです。
プラスチックについては、種類(色の有無、大きさなど)によって価格が変わったり、買い取りしてくれなかったりすることはあるようで、再利用のための選定が難しいと言われます。
実際に、回収されたプラスチックの再利用率は50%ほどだそうです(残りは破棄)。
ただ、プラスチックの業者は結構あり、少なくとも100企業近くはありますので、買い取り相場も良い競争が生まれています。

鉄くずは集めると結構お金になるので、金欠になった世帯がお金を作る為に鉄製の屋根を売りに出す、というのはマラウイの貧困世帯では珍しいことではありません。
(鉄板の屋根を売ったら藁で屋根を作ります)

ペットボトルはMK10(約1.4円~2.7円<2020年10月レート>)ほどで、ビールのビンは割れたりしていなければMK20で売れます(Castel社のビン)。

残念ながら紙の再利用はあまり聞きません。
まだ広く再生紙事業を展開しているマラウイの企業は無いのかもしれませんね。

資材や物品など、売れそうなものを手に入れたウェスト・ピッカーはそれを売りにいくわけですが、特に鉄・プラスチックなどの企業が買い取る資材原料になるものについては、ウェスト・ピッカーが必ずしも直接企業に売りにいくわけではないようです。
このような資材をウェスト・ピッカーから買い取り、まとめてトラックなどに積み込んで企業に売りにいくブローカーのような人たちがいるそうです。
もしかすると、量をある程度多くして売ると、高めに買い取ってくれたりするのかもしれません。

ウェスト・ピッカーの仕事上の問題として、輸送費がかかるという人が多いです。
鉄くずを何十キロも運ぶことになるので、ミニバスに乗れば通常料金よりも多く払わなければならなりません(荷物が多いと割増しで払います)。
ですので、まとめて買い取って運んでくれるブローカーはある意味助かる存在にもなります。
ただ、ブローカーは当然ながらマージンを取っていますので、中には搾取されていると感じているウェスト・ピッカーもいるのも現実です。

まとめ

リロングウェの最終処理場
リロングウェの最終処理場

マラウイ都市部のゴミの最終処理場(ゴミ集積所)では、街で集められたゴミがそのまま分別などがされるわけでもなく、そのまま広い場所に集められています
そこには多くのウェスト・ピッカーがいて、生活のために売れるものを探しています。
ウェスト・ピッカーは貧困層で、その多くは子どもたちです。

ウェスト・ピッカーの中にはある程度稼いで生計を立てている人もいますが、稼ごうとすると体力的にキツい仕事でしすし、最終処理場は危険も多く、不衛生で健全な仕事とは言えません。
ましてや子供が働く場所でもありません(子どもが学校に行かずに働いていることも問題です)。

他の途上国と同じく、マラウイでもゴミ処理が大きな社会問題となっています。
この最終集積所がこのままで良いとは思えませんし、政府の対策も充分とは全く言えません。

今後、マラウイの発展に大きな影響を与えるはずのゴミ問題。
国民の意識改革から問題解決に向けた政策まで、道のりはまだまだ長そうです。

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