アフリカ、マラウイでの妊娠中絶問題とは?

マラウイの妊娠中絶問題 マラウイ
マラウイの妊娠中絶問題
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アフリカ、マラウイの今期の国会で、妊娠中絶に関する法律の改正が話題となっています。
マラウイでは基本的に中絶は禁止されていますが、それを緩和しようという動きです。
今注目されているマラウイにおける妊娠中絶について書きます。

私のマラウイ生活で得た個人的な経験ベースでお伝えします。

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アフリカ、マラウイの妊娠中絶の現状

妊娠中のカップル
※イメージ

マラウイは、世界でも中絶が厳しく禁止されている国の一つとされています。
基本的に妊娠中絶は法律で禁止されており、母親の生命に関わる場合のみ中絶手術を受けることができます。

今回のマラウイの国会で、この妊娠中絶に関する法律の改正が話題となっています。
妊娠中絶を受けられる条件を、レイプ、性的虐待、近親相姦の理由による妊娠にも広げようという動きが国会議員の中に出てきています。

妊娠中絶で毎年多くの女性が死亡しており、社会問題の一つとなっています。
しかしながら、宗教上の理由から多くの教会が妊娠中絶には反対しており、政治的に大きな波紋を呼んでいる状態です。

そもそもマラウイで妊娠中絶する理由は何なのでしょうか?

アフリカ、マラウイでなぜ妊娠中絶をするのか?

手術
※イメージ

ある調査では、マラウイで毎年141,000人以上の女性が中絶をしていると報告されています(婚姻者含む)。

マラウイの法律では妊娠中絶は違法とされていますが、女性の生命に危険がある場合は中絶手術が受けられます。
そのような中、違法な妊娠中絶をするということは、望まない妊娠であることは間違いないと思います。

違法な妊娠中絶に至る理由はいくつかあります。
レイプや近親相姦などの虐待避妊の未実施などが挙げられると思います。

統計から見て、レイプや近親相姦は(全件ではないとしても)犯罪として表面化するので、「毎年141,000人」という数字から見てメジャーな理由ではないのだろうと思います。
ですので、大きな理由は避妊の未実施なのではないかと推測されます。

避妊が行われてない理由としては、未教育が前提とはなりますが、売春宗教上の問題偏見などが挙げられます。

低所得家庭の女性の中には売春をして生活をしている方もいますので、避妊をしていたとしても必然と妊娠リスクは高まります

マラウイの70%以上がキリスト教徒、15~20%がイスラム教徒ですが、どちらも教義によっては避妊を認めない場合があります(原理的になればなるほどその傾向が強い)。
世界的に見てもカトリックの国やイスラム原理主義国は避妊具の利用や人工妊娠中絶を違法としているところはまだありますね。

普段の生活におけるコンドームなどの避妊具への偏見として「売春婦が使うもの」とか「浮気をする人が使用する」などというものもあるため、コンドームを持ちづらい風潮も後押ししています。
ちなみに、マラウイではHIV感染予防の観点からヘルスセンター(簡易病院)などにいくと、在庫があれば無料でコンドームがもらえます。

今国会での中絶法の要件緩和は、レイプ、性的虐待、近親相姦を理由とするものに妊娠中絶を適用するものなので、中絶理由として一番多いだろうと思われる「避妊の未実施」については適用されないものになります。
ただ、今回この緩和が国会を通ることによって、将来的にどのような妊娠理由であっても中絶できるようになる適用が拡大される可能性はあります。

現在のマラウイの妊娠中絶に関する法律はどのようなもになるのでしょうか?

アフリカ、マラウイの妊娠中絶についての法律

法律
※イメージ

マラウイの刑法によって妊娠中絶は禁止されています。
これは100年以上前の植民地法から継続されている内容になります。

  • どのような方法であれ中絶を処理をすると14年の懲役(中絶を施した人)。
  • 中絶をした妊婦は7年の懲役
  • 中絶をするための供給、調達を行うと3年の懲役(中絶を幇助した人)

と、かなり重い量刑が規定されています。

しかし、基本的に禁止されていますが、母親の生命を保護するために誠実に合理的な注意と技能をもって胎児に外科手術を行うことに対して刑事責任を負わないことが他項で規定されています。
ですので、その妊娠や出産によって女性の生命の危機がある場合に限り、ちゃんとした手術を受けて中絶ができるというのが今の現状です。

何年も前からこの中絶法については議論があり、望まない妊娠については中絶を許すべき、とする人たちが一定数いました。

今回の改正案は2015年に作成されていたのですが、諸々の理由がある調整がつかず(後述します)、棚上げ状態となっていたのが今動き出したという形です。
ちなみに、今回の改正が通ると許可制によって中絶を行えるようになる、というところを目指しているようです。
中絶する理由や方法をしかるべき機関へ申請し、許可を得てから手術を行う、という感じでしょうか。

では、この法案とマラウイの妊娠中絶は何が問題で話題となっているのでしょうか?

アフリカ、マラウイの妊娠中絶についての問題点

教会
※イメージ

女性の選択する権利としての「妊娠中絶」を認める、という考えもありますが、ここでは今起こっている実際の問題について挙げてみます。

現時点では妊娠中絶は違法であるため、病院で中絶の手術を受けることはできません。
では、どうしているのかと言うと、非合法の中絶薬を利用したり、腹部への打撃を与えて中絶する人が多いといいます。
お腹を殴ったり、子宮に棒を入れるなど、かなり乱暴な方法をしていることが報告されています。

このような中絶方法ですので、毎年不適切な処理での中絶で死亡している女性は多く報告されています
また、ブランタイヤ市にある国内2番目に大きいクイーンエリザベス中央病院だけで、母親の合併症患者の685人は安全でない中絶によるものだったという記録があります。

マラウイは世界でも妊婦死亡率の高い国で、出生数100,000人あたり574人の妊婦が死亡しているという2017年の調査もあり、その中の6%~18%が安全ではない中絶が死亡原因であることがわかっています。
もちろん妊婦死亡者数は年々低下傾向ではありますが、無視できない死亡原因だと思います。

また、経済面での妊娠中絶の要件緩和の影響として、中絶後に何らかの問題によって病院で受けるケアに毎年3億クワチャもの費用がかかっているとされており、国費負担にも寄与すると言う国会議員もいます。

このように毎年多くの女性が中絶やその後の合併症などで死亡したり、悩まされたりしています。
しかしながらこの法案が進まない一番が「政治的理由」です。

↑にも書いた通り、中絶を宗教上認めない教会は数多くあり、この法案にも各教会が反対の意思表明をしています。
教会には多くの人を動かす力があり、「集票機関」でもあります。
政治家からするとこの勢力は無視できませんし、すでに国会議員への圧力は始まっているそうです。
このハードルをどう超えるのかが一番の問題です。

以下が反対の意思表明をしているキリスト教、イスラム教の教会になります。
マラウイに住んでいるとすぐにわかるのですが、大きな教会派ばかりです。

  • General Assembly of the Church of Central Africa Presbyterian (CCAP)
  • Episcopal Conference of Malawi (ECM)
  • Evangelical Association of Malawi (EAM)
  • Public Affairs Committee (PAC)
  • Muslim Association of Malawi (MAM)

まとめ

マラウイの風景
マラウイの風景

今マラウイの国会では妊娠中絶法の改正が話題となっています。
女性の生命に関わる時以外は中絶が禁止されていますが、その要件を緩和する動きが国会議員の中で出てきています。

マラウイでは妊娠中絶が違法とされているために、毎年安全ではない方法で妊娠中絶をする女性がいて、合併症に悩まされたり、死亡するケースも少なくありません。
この状況を改善するために議員たちは動いていますが、教会が反対をしています。

マラウイの国会議員は、多くの票を抱えている教会を抑えて、法案を通すことができるのでしょうか?
現在のところ188人の議員のうち、調査回答した141名の80%(113名)が反対、18%は未決定との調査があるメディアによって報告されています。

政権交代してから初めの国会で、これまでになかった動きが多く出てきています。
この妊娠中絶法の改正についても、今後法案がどうなっていくのか注視していきたいです。

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