【国際協力の知識】途上国の定義とは? | 「開発途上国」と「発展途上国」の違い

途上国とは? 国際協力
途上国とは?
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「途上国」の定義を知っているでしょうか?
国際協力に携わる人や、世界の貧困問題に興味のある人ならよく使う単語だと思います。
「途上国」の定義と、よく耳にする「開発途上国」と「発展途上国」の違いについても紹介します。

途上国ど真ん中であるマラウイで活動している私から、「途上国」についての考えも書いてみます。

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【国際協力の知識】「途上国」に定義がある?

アフリカの女性
※イメージ

「途上国」には定義があります。

「途上国」というのは、その名の通り経済発展や開発の水準が先進国に比べて低く経済成長の途上にある国を指す言葉として使われています。
「開発途上国」や「発展途上国」と言われたりしますが、この違いについては後ほど紹介します。

日本政府の考える「途上国」の定義としては、経済協力開発機構(OECD)の開発援助委員会(DAC)が作成する「援助受取国・地域リスト」(DACリスト)に記載されている国や地域が「途上国」としています。

「OECD」については後ほど詳しく紹介したいと思います。

この3年ごとに改定されている「DACリスト」に載っている国や地域が「途上国」なわけです。
DACリストへ掲載される基準は以下のようになっています。

  • 世界銀行によって「高所得国」以外に分類される国々
    (2016年時点の一人当たり国民所得(GNI)が12,235米ドル以下の国々)
  • 国連によって後発開発途上国(Least Developed Countries)に分類される国々
    (一人当たり国民所得(GNI)、人的資源指数(HAI)、経済脆弱性指数(EVI)によって判断される)

後発開発途上国」というのは、途上国の中でも貧しい国々のことを指します。
「Least Developed Country」を短縮して「LDC」とも呼ばれたりもします。

ちなみに、国連が「開発途上国であるかどうか」、その中でも「後発開発途上国に分類されるかどうか」は、国連開発計画委員会(CDP)が定める基準をもとに、国連総会の決議により認定されています。

「途上国」という言葉は「先進国」という言葉との対比で使用されていいます。
なので、その「DACリスト」を作成しているOECDの加盟国が一般的にいわゆる「先進国」ということになります。
もしくは、1人あたりGDPが1万ドルを超えると「先進国」と呼ばれることが多いです。

OECDとはどのような組織なのでしょうか?
OECDの歴史を知ると、各国の行う国際協力の背景が少し見えてきます。

【国際協力の知識】「途上国」を定義している「OECD」とは?

パリにあるOECD本部
パリにあるOECD本部

「OECD」とは「Organisation for Economic Co-operation and Development」の略で、日本語名は「経済協力開発機構」と言います。

「OECD」という名前はたまに耳にするのではないでしょうか。
世界の経済状況について調査を行っているので、色々な統計がOECDから発表されています。
色々な世界の経済データの引用元として「OECDによる調査によると~」と言った感じで名前を聞いているかもしれません。

OECDの目的は大きく3つあり、「経済成長」「貿易自由化」「途上国支援」としています。
「途上国支援」については開発援助委員会(DAC)が担っており、そこで作成されているのが、途上国として支援先を決める「DACリスト」ということになりますね。

OECDには前身となる「欧州経済協力機構(OEEC)」という組織がありました。
1948年にアメリカによって設立されており、第二次大戦後の欧州復興支援策(マーシャルプラン)の受け入れ整備のための組織でした。

その後、欧州復興後に世界の経済発展のために協力をしていくという理念のもとに現在のOECDの枠組みができました。

ちなみに日本は1964年にOECDに加盟しており、OEECの加盟国以外の国としては初の加盟で、しかも欧米諸国以外でも初の加盟国でした。
これはなかなかすごいですよね。

マーシャルプランは、戦後の欧州復興を目的にアメリカが始めた政策なのですが、何のために行われたのでしょうか?
端的に言うと、アメリカとの経済協力共産主義の排除が目的として挙げられます。

ここではマーシャルプランの詳細について詳しく書きませんが、要するに外交政策でした。
「ヨーロッパ諸国が大変だから」とか「人道的な理由」という建前はあったかもしれませんが、本当の理由は「外交政策」であり、「国家(アメリカ)の利益」のために行われたものです。

外交政策を実施するためのOEECで、そこから整備されたOECD、そして今OECDは各国の外交政策を実施するための「途上国」リストを作成している、ということです。

国家が実施する「国際協力」は、「人道的な理由」を建前として発言されることがあっても、「外交政策」であり「国家の安全保障」が目的です。
もっと端的に言うと、国益にならなければ動かないのです。

このようなことからNGO:Non-Governmental Organisation「非政府組織」というのが存在している理由の一つとなっています。

国際協力の分野を目指す、特に若者には、この国家の行う国際協力と、NGOの行う国際協力の違いについてよく理解して欲しいと思います。
どちらが良いということではなく、活動内容として両者にほぼ相違はなくても、背後にある最終的な目的が違うために大きな違和感を感じる場合が実際にあります。

ちなみに、国連系の組織も国家の行う国際協力とそれほど全体構図は変わりません。
また、NGOでも政府からの補助金を利用していたり、事業受託をしている場合は、国家による国際協力と同じです。

ここまで「途上国」とたくさん言ってきたのですが、「開発途上国」と「発展途上国」という言葉をよく使うと思います。
この二つに違いはあるのでしょうか?

【国際協力の知識】「開発途上国」と「発展途上国」の違いは?

マラウイのウェスト・ピッカーの子どもたち
マラウイのウェスト・ピッカーの子どもたち

「開発途上国」と「発展途上国」の意味は同じです。
違いはありません。

たぶん一般的に広く使われているのは「発展途上国」だと思います。
各語をGoogle検索すると以下のような検索結果になりました(完全一致検索)。

  • “開発途上国”:1,450,000件
  • “発展途上国”:3,540,000件

私も「発展途上国」を使うことが多かったですが、国際協力の分野に関わるようになってから「開発途上国」という単語を使うことが多くなりました。

ちなみに、政府の公式(というか慣習?)としては「開発途上国」が使用されています。
私はJICA関連の仕事をすることがあるのですが、その際の文書作成でも、「発展途上国」と記載すると「開発途上国」と訂正を受けることがよくあります(担当者によるのかもしれません)。

もしかすると、ですが、「発展途上」というと「発展」の定義が難しく、しかもそのあやふやな「発展」の「途上」という上から目線を感じる、なんて言うひねくれたポリコレから「開発」を選んでいるのかもしれませんね。

「開発」だと学術的に具体的な分野(医療、教育、生活インフラなど)は絞られますし、その「途上」についても指標が当て込めることができます。

要するにどちらでも使い易い方でいいと思います。
政府系やお堅いところとお仕事をする可能性があるなら、日頃から「開発途上国」を使用しておくのが無難です。

英語では「開発」も「発展」も違いは無く「develop」ですので、「developing country」(途上国)と「developed country」(先進国)で言い分けるのが一般的です。

「developing country」は「less developed country」や「underdeveloped country」などと言う場合もありますが、基本的に「developing country」で大丈夫です。
実際に言い分ける時に、「ing」と「ed」の違いだけでちゃんと通じてるか不安になる瞬間はありますけどね…笑

ではここで、マラウイから考える途上国について書いてみたいと思います。

マラウイから見える「途上国」とは?

首都リロングウェの低所得者の居住エリア
首都リロングウェの低所得者の居住エリア

マラウイはDACリストでは「後発開発途上国」として最も開発が遅れている国の一つとされています。

確かに貧しい国ですので、問題は色々あって数え切れませんし、解決可能なのかもわからないことばかりです。
しかしながら、全てのマラウイ国民が日々の生活に苦しんでいるかと言うとそんなことはありません

一般的に貧しいとされている農村部であっても、人々は助け合いながら濃厚なコミュニティを形成して、私が見る限り楽しい生活を送っている人が多い印象です。
もちろん医療や生活インフラなどの問題はありますし、貧困に苦しむ家庭もありますが、大なり小なり社会的な問題はどの国にもあることで特別なことではありません。

子どもたちの遊びがタイヤ転がしなのか、プレステ5なのか、女性のおしゃれが首都で買ったチテンジを巻くことなのか、ロエベのバッグを持つことなのか、その程度の些末な違いなのだと思っています。
どちらも当人たちにとっては幸せなことです。

私は今も自分なりの正解を得られずにいるのですが、どこまで/どれだけ発展するのかはその国の国民が決めていくことなのだと思っています。
すべての国が日本や欧米諸国のようになるのが幸せなことなのでしょうか。

マラウイには多くの国やNGOが支援に入って、政府や国民、時には文化に大きな影響を与えてきています
特に中国の支援はとりわけ目に付きます。

「先進国」から「途上国」と指定され、支援を何十年も受けてきているのですが、果たしてこれらの支援が妥当であるのか、答えを求めようとしている人は極少数です。

もちろん「途上国」に支援をした瞬間は、短期的に見て、支援側も非支援側も双方ともに喜びます。
しかし、10年~20年以上のスパンでその効果を見た際に、良い結果となったのか悪い結果となっているのか確認されていません。

「途上国」支援は麻薬に近いものがあり、非支援国の自力での発展を疎外する可能性を多いにはらんでいます。
支援漬けからの脱却のため、私はマラウイに入っている多くの開発支援は撤退すべきなのではないかと今は考えています。

ただ、医療と生活インフラ(特に水)については命に直接かかわることなので、これまでと変わらず支援はすべきです。
言ってしまえば、医療と水以外は、もう現地の経済発展に任せて良いのではないかと思っています。

私はマラウイで国内の経済構造の問題を、現地の経済市場によって解決させたいと思い活動しています。
現地経済と今後の経済発展を考えると、多くの問題が自国の経済と海外投資(もちろん商業的な投資)で解決できるのではないかと考えています。

まとめ

マラウイ都市部の貧困層の住むエリア
マラウイ都市部の貧困層の住むエリア

「途上国」とは、経済協力開発機構(OECD)で作成されるDACリストに掲載される国々のことです。
そして「途上国」の対となる「先進国」は一般的にOECDの加盟国を差します。

OECDは第二次世界大戦後の外交政策の実施機関として設立された組織を母体に作られ、今では先進国の外交政策となる経済連携や途上国支援に寄与する組織となっています。

そして、名称としての「開発途上国」と「発展途上国」は同じ意味で違いはありません。
もし政府系の組織などでこの名称を使う場合は、「開発途上国」と言っておきましょう。

とある研究では、いわゆる「低所得国」から「高所得国」になるまで40~50年かかると言われています。
また、世界の貧困は今アフリカのサブサハラに集中しており、このままで貧困解決に至るのか怪しいところです。

途上国支援は様々な形で行われてきていますが、それらが妥当なものなのか、長期的に効果があるものなのか、冷静に見て行かなければなりませんね。

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