他の発展途上国と同様に、アフリカ、マラウイのローカルマーケットに並ぶ商品にはほとんど値札が付いていません。
どのように価格が決められているのでしょうか?
また、私達は「外国人」ですので、初めて行くマーケットではまず「外国人価格」を提示されると思います。
私がマラウイを含めて、途上国を訪れる際に行っている値切るコツを紹介したいと思います。
私のマラウイ生活で得た個人的な経験ベースでお伝えします。
【値切るコツを知る前に】そもそも価格とはどう決まるのか?
簡単にモノの価格がどう決まるのかを確認しておきましょう。
価格の決定の第一段階に、「原価」「経費」「利益」がありますね。
原価 + 諸経費 + 利益 = 基本価格
そして、この基本価格に対して、そのマーケットに生まれる「需要」と「供給」のバランスで販売価格が決まります。
このあたりは社会科の授業で習っていますし、実生活でも感じる瞬間があると思います。
今コロナで原価10~20円程度のマスクの価格が何十円~数百円になって売られているのが良い例ですね。
しかし、日本のような普遍的な流通システムや市場が全国に行き届いている国とマラウイのような途上国はちょっと違います。
途上国ではこの経済の仕組みが地域によって異なっていたり、国民性によってうまく機能していなかったりすることがよくあるのではないでしょうか。
アフリカ、マラウイでのマーケットの商品価格はどのように決定されるのでしょうか?
【値切るコツを知る前に】アフリカ、マラウイのマーケットでの相場価格はどう決まるのか?
生活必需品である野菜の例で、マラウイのマーケットの商品価格がどう決まっているのか紹介したいと思います。
私が知る限りですが、マラウイの都市部やトレードセンター(農村部のマーケットエリア)で販売されている野菜は、ほぼ卸された野菜になります。要するに、農家から直接買い入れたか、仲買人のような人から買い入れた野菜になります。
商品によっては、一定の人数のいるグループを作って大量購入して販売している人たちもいます。
農家が直販で売っている場所はありますが、個人レベルの小規模で生産販売しているか、特定の場所でしか直販(卸売り)を行っていません。
ですので、普通のマーケットにある野菜の基本価格は以下のようになります。
仕入れ価格 + 輸送費 + 利益 = 基本価格
大量購入した場合は仕入れ価格を抑える事ができますが、基本的にエリアによって仕入れ価格ほぼ固定されていますので、輸送費が基本価格に大きく影響してきます。
輸送費は、販売者が仕入れをしている場所から遠くなればなるほど基本価格が上がっていきます。
パインの価格の一例を見てみます。
ブランタイヤ市内のマーケットで売られているパインは、シーズン中でMK500~800(約75円~120円<2020年6月レート>)ほどなのですが、隣街のリンビ(Limbe)へ行くとMK400~700ほどで買えます。
そのリンビの仲買人が仕入れている農家が、東に60キロほど行ったムランジェ(Mulanje)にあります。ムランジェでは一個MK100~500でパインが販売されているそうです。
製造地から遠くなればなるほど輸送費が加えられていく、という感じです。
このことから、農村部の方が都市部より野菜が安いと勘違いしそうですが、残念ながらいつもそうではありません。
農村部でも、その土地から産地が遠い野菜は価格は上がる傾向にあります。
基本価格が決まったあとは、需要と供給です。
マラウイは誰もが自家用車に乗っていたり、買い物でミニバスやタクシーを使ったりしているわけではありません。低所得者~中所得者の多くは徒歩が基本ですので、生活経済圏はそれほど大きくありません。
よって、同じ都市内のマーケットでも、場所によって価格が異なることがよくあります。
低所得者が多く集まる場所では価格が安くなり、高所得者が多いエリアでは価格が高くなります。特に高所得者の多いエリアでは、住居者数が他のエリアより少ないのでマーケット規模が小さく、価格が高くなる傾向があるのではないかと思っています。
大きな価格決定に影響する要因として、国民性があると思います。
マラウイのローカルマーケットでは「価格競争」があまり起きません。みんな横並びに同じ商品を売っていたりします。
マラウイに来た当初は「なんで差別化をしないのか?」と私は不思議でした。販売テクニックを知らないということも一部あるかもしれませんが、一番の理由は「みんなで商売をする」という観念がどうもあるようです。
マーケットで野菜を販売している人たちの大部分が女性というのもあるかもしれませんが、あまりガツガツした商売人は少ないように感じます(これは野菜を売る女性に限ってそう感じます)。
同じ商品を同じように横並びで販売し、どれが売れるかは「神のみぞ知る」といった感じです。
誤解を生まない為に追記しますが、基本的な販売テクニックを心得ているマラウイ人は男女問わず多くいますし、しっかり商売している人たちは都市部を中心に多くいます。
それでは、マラウイのマーケットで買い物をする前には、どのような準備が必要でしょうか?
アフリカ、マラウイのマーケットで買い物をする前にしておくコツ
マラウイでは、これはマーケットに関わらず、他のアフリカ諸国に比べて比較的ぼったくられることは少ないと思います。
交通機関でもマーケットでの買い物でも、法外な料金を求められることはそんなに無いのですが、商魂のたくましいマラウイ人はいますので気をつけなければなりません。
マラウイで値切るコツ「現地語であいさつ」
まず初めに現地語であいさつ程度はできるようにしておきましょう。
現地語を話せるのと話せないのとではかなり印象が違います。
また、私たちはどう見ても「外国人」ですので、観光客だと思われると高い値段を言ってくる人もいます。
現地語が少し話せれば、観光客ではなく地元に生活している人だと思われれば現地価格に近づけることができます。
マラウイで値切るコツ「相場を知る」
これはマラウイや途上国に限ったことではありませんが、価格交渉には情報がとりあえず必要です。情報が無ければ、いくらが自分にとって納得できる指標となる価格なのかわかりませんからね。
知人に相場を聞いたり、マーケットに行ってから色んなお店で値段を聞きまくりましょう。
マーケットに買い物に来ているマラウイ人に値段を聞くのも良いと思います。普通のお客さんならわざわざ高い価格を言うようなことはないですからね。
「それ、いくらで買ったの?」などと聞いてみましょう。
実際に買う際に私がやっていた値切る方法を紹介します。
アフリカ、マラウイのマーケットで値切るコツ
私がやっている「外国人価格」から値切る方法がいくつかありますので、それを紹介します。
マラウイで値切るコツ「競争させる」
これはマーケット以外にもバイクタクシーやカバザでも利用できます。
何か欲しいものがあるときに、他のお店にも値段を聞いて競争させます。できれば目の前で店主が競争してくれるのが理想です。
マーケットで床に商品を置いている店だと難しいのですが、カバザやバイクタクシー、歩き売りしている人ならこれが簡単にできます。
ただ、既にお伝えしたように、マラウイでは「価格競争」が起きにくい国民性があります。ですので、この方法が劇的に効果を出すことは経験上それほどありませんが、「外国人価格」より値切ることは可能です。
マラウイで値切るコツ「財布の中身を見せる」
マラウイでは外国人=金持ちという方程式がありますので、お金が無いことを見せるのも一つの手だと思っています。
これはその時の持ち物や服装にもよるのですが、私はローカルマーケットに行く際には少々汚い(ボロい)服を着ていくようにしています。
そして財布には野菜類だけを買えるの少額のお金を持っていき、財布の中身を見せつつ「お金無いんだよー」アピールをします。
マラウイで値切るコツ「買う意欲があること見せる」
あまりに値切るのに粘っていると、売る側が売る気をなくして値下げ交渉から降りてしまう事があります。
こうなると値切ることはできませんので、「この商品を買いに来た」ということをアピールしておくと良いと思います。
「今日の晩御飯でこれを使いたいんだよ」という話をしておけば交渉は進みますし、それ以外に代替え商品の提案など、有益な情報が得られることもあります。
マラウイで値切るコツ「交渉は下値から」
実際に具体的な価格の交渉になった際には、あなたが「この辺の価格なら納得する」という価格よりかなり安いところからスタートさせます。
例えば、もしお店側がMK1,000という値段を提示してきて、あなたの中での納得価格がMK600くらいだとしたら、あなたからはMK400くらいの提示からはじめます。
お店:MK1,000!
あなた:MK400!
お店:MK900!
あなた:MK500!
お店:MK800!
あなた:MK600!
このような形で値切っていくのですが、大抵途中でお店側が交渉を降ります。もしこの例で、お店側がMK800で「もうこれ以上は下げられないよ」となった場合は、そこで一回諦めましょう。
そこで次に挙げる「複数買い」で値切るか、他の店に行って価格検討した後にまた戻ってきて交渉を再開させます。
一度来た客が再度戻ってくると、大抵お店側はもう一度値引きに応じてくれますので、もう一息MK700までいけるのではないでしょうか。
マラウイで値切るコツ「複数買い」
複数買いは簡単に値切ることができるのでおすすめです。
単品しか売っていない人も多くいるので、その場合には数量を増やして値引きしてもらうことになるのですが、現実的なのは複数品目買いだと思います。
マラウイのマーケットの商人(特に野菜など)は、冷蔵庫が無いため食材の保管が難し状態です。可能な限り売りの残しをしたくないという気持ちがありますので、一回でたくさん買うことはかなり喜ばれます。
たくさん買うとおまけをしてくれることもよくあるので、一人からたくさん買うという方法は、簡単に値切ることのできる方法になります。
いくつかマラウイで値切る方法を紹介しましたが、私は基本的にそれほど値切ることをしません。
その理由をお伝えしたいと思います。
私がマラウイのような途上国や観光地であまり値切らない理由
既にお伝えしましたが、基本的に価格の最終決定要因は「需要」と「供給」であり、価格交渉は「買い手」と「売り手」で行われます。
ですので、いくら相場より高い値段であっても(いわゆるぼったくりでも)実際の売買交渉では当事者どうしが納得すればOKだと私は考えています。もちろんその交渉に嘘があれば詐欺ですので、それは受け入れられませんけどね。
値切らずに特別扱いしてもらう
それほど値切らずに相場価格より少し高めの料金で買うことによって、お店やサービス提供側から「特別なお客さん」という意識を持ってもらうことができます。
マラウイで私たちはどう頑張っても「外国人」ですので、この特別枠は買い物に限らず利用しない手はないです。
「特別なお客さん」になれば、いざという時に特別な対応をしてくれることがあります。珍しい野菜や果物を優先して売ってもらえたり、タクシーなら呼んだらすぐ来てくれたり、修理なら当日直してくれたり、色んな「特典」を受けられます。
私はよくこの「特典」を使って生活をある程度楽にしている気がしています。
値切らずマラウイの所得貢献
もちろん値切らなければお店の売り上げは上がりますので、彼らの生活の助けとなります。
私たちは「外国人」で、しかも運が良いことに日本という世界第3位の経済大国から来ています。
物価を比較しても、私たちにとっての100円とマラウイでのMK650(約100円<2020年6月>)は価値が大きく違います。日本で100円だと1食の食事代にもなりませんが、マラウイでMK650あれば、私でも3~4食は食事ができます。
このようなことを考えると執拗に値切るのはどうかと思いますし、何より時間と労力に見合うことなのか疑問です。
値切る際に感情で価格を判断しない
買い物の前に相場を知っておくことが重要とお伝えしましたが、相場を知ったからと言って必ずその価格で買う必要はありません。
相場はあくまで目安です。
相場を知るとどうしても相場価格と同じか、それより安い価格で買いたくなってしまいますが、そこに執着しない事をおすすめします。
最終的にあなたとお店が価格に納得すればOKなのです。
相場価格に執着すると失敗する場合がありますので気を付けましょう。
まとめ
私は観光で訪れた場所であっても同じような形で値切っていますが、毎回値切るかというとそれほど値切ることはしていません。
あなたの値切る理由として「ただただできるだけ安く買いたい」とか「普通より高い価格で買いたくない」というようなものだったりはしないでしょうか。
もちろん詐欺は論外として、私たちの背景にある経済力の違いなども踏まえつつ適度に値切って楽しく買い物をして、売り手と買い手のお互いに喜べる買い物がしたいですね。
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